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Web制作の営業の力を7軸×5段階で言葉にする 次に伸ばす1軸の決め方
Web制作の営業の力を7軸×5段階で言葉にする 次に伸ばす1軸の決め方
「もっと数字を上げて」「もっと動いて」と言われても、次に何をすればいいのかは分かりません。営業の伸び悩みは、たいてい行動量や気合ではなく、どの力がどう足りないのかを言葉にできていないことから来ています。
ここでは、Web制作の営業の力を7つの軸に分け、それぞれを5つの段階として整理します。自分がいまどのあたりにいて、次に何を上げればいいのかを決めるための物差しです。
後半では、目指す地点の決め方から伸ばす順番、次に上げる軸の絞り方まで、この物差しの使い方も扱います。
想定しているのは、Web制作会社の受託営業です。扱う商材が違っても、軸の考え方はそのまま流用できます。
ここでは、Web制作の営業の力を7つの軸に分け、それぞれを5つの段階として整理します。自分がいまどのあたりにいて、次に何を上げればいいのかを決めるための物差しです。
後半では、目指す地点の決め方から伸ばす順番、次に上げる軸の絞り方まで、この物差しの使い方も扱います。
想定しているのは、Web制作会社の受託営業です。扱う商材が違っても、軸の考え方はそのまま流用できます。
営業の力は7つに分けられる
「営業ができる」と一口に言っても、その中身は同じではありません。アポは取れるのに赤字案件ばかり持ってくる人もいれば、提案書はうまいのに新規の商談を作れない人もいます。ひとまとめにしている限り、次の一手は決まりません。
- 案件創出
- 商談を、自分で生み出せるか
- ヒアリング・課題把握
- 要望の裏にある課題を、つかめるか
- 提案力
- 課題の解決策として、提案を組み立てられるか
- 制作知識
- 何ができて何ができないかを、その場で判断できるか
- 価格・交渉
- 根拠のある価格を出し、守れるか
- 案件管理・受注後
- 受注したあとも、案件を壊さず運べるか
- 数値管理
- 売上の見通しを、自分で立てられるか
この7つを、それぞれ5段階に分けます。段階が言葉になっていると、「なんとなく足りない」が「この軸のこの段階にいる」に変わります。
全体はこの一枚に収まります。軸ごとに横へ読んで、いちばん近いマスに印を付けてください。7つの印を縦に見比べると、自分の凸凹が見えてきます。
全体はこの一枚に収まります。軸ごとに横へ読んで、いちばん近いマスに印を付けてください。7つの印を縦に見比べると、自分の凸凹が見えてきます。
| 軸 | Lv1 | Lv2 | Lv3 | Lv4 | Lv5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 案件創出 | 問い合わせを待つだけ | 商談まで育てられない | 商談を自分で作れる | 紹介を自分で生み出せる | 新しい商流(取引の経路)を開拓する |
| ヒアリング・課題把握 | 予算と納期しか聞けない | 質問が表面的 | 課題を言語化できる | 気づいていない課題を示せる | 事業戦略まで話せる |
| 提案力 | 見積もりを出すだけ | テンプレートのまま | 解決策として組める | 投資対効果を示せる | 指名で相談が来る状態を作る |
| 制作知識 | 分からず安請け合い | その場で判断できない | その場で概算を出せる | 代替案を提示できる | 座組(体制の組み方)を設計できる |
| 価格・交渉 | 値引きをそのまま飲む | 根拠なく提示する | 根拠を持って提示できる | 価値で交渉できる | 価格戦略を設計する |
| 案件管理・受注後 | 制作に丸投げ | 伝書鳩になっている | スコープを管理できる | 炎上を未然に防ぐ | 長期取引を作る |
| 数値管理 | 売上を把握していない | 見通しが立たない | 着地見込みを読める | 動きを変えて安定達成する | 事業の数値を設計する |
営業の現在地を5つの段階で測る
Lv2以降の冒頭には、前の段階から何が変わるのかを一文で置いてあります。まずそこで自分の当たりをつけ、7つの軸ごとの記述で、いちばん近い段階を確かめてください。記述はどれも典型例なので、ぴったり一致していなくて構いません。Lv1は脱しているが、Lv3には届いていない。その場合は、間のLv2です。
読むときのコツが1つあります。自分がよく見えるほうを選ばないことです。「やろうと思えばできる」ではなく、直近の商談で実際にできたほうを取ってください。ここを甘く見ると、あとの判断がすべてずれます。営業の場合、受注という結果だけを「できた」の根拠にしがちですが、たまたま予算と時期が合っただけの受注は判定の材料になりません。
AIを使ったかどうかは、判定には関係ありません。AIに提案書のたたきを作らせても、その中身を顧客の課題に照らして判断でき、ずれた箇所を自分で直せたなら「できた」に入ります。それっぽいからそのまま出しただけなら、それはテンプレートの出どころが過去案件からAIに変わっただけで、Lv2の汎用提案と同じです。
読むときのコツが1つあります。自分がよく見えるほうを選ばないことです。「やろうと思えばできる」ではなく、直近の商談で実際にできたほうを取ってください。ここを甘く見ると、あとの判断がすべてずれます。営業の場合、受注という結果だけを「できた」の根拠にしがちですが、たまたま予算と時期が合っただけの受注は判定の材料になりません。
AIを使ったかどうかは、判定には関係ありません。AIに提案書のたたきを作らせても、その中身を顧客の課題に照らして判断でき、ずれた箇所を自分で直せたなら「できた」に入ります。それっぽいからそのまま出しただけなら、それはテンプレートの出どころが過去案件からAIに変わっただけで、Lv2の汎用提案と同じです。
Lv1 来たものを、そのまま流すだけ
顧客の言葉も制作の事情も、まだ自分の中を素通りしています。
- 案件創出
- 自分からは動かない。商談はすべて、先方からの問い合わせで始まっている
- ヒアリング・課題把握
- 聞いて帰ってくるのは予算と納期だけ。「何のためのサイトですか」と制作に聞かれて答えられない
- 提案力
- 提案書と呼んでいるものが、表紙の付いた見積もりになっている
- 制作知識
- 「それもできますよ」が口癖で、持ち帰ってから制作に「できません」と言われる
- 価格・交渉
- 値引き要求に「なんとかします」と即答し、会社に戻ってから赤字に気づく
- 案件管理・受注後
- 受注のあと、その案件から届く第一報がトラブルの電話
- 数値管理
- 自分の今月の売上を、経理に聞かないと答えられない
Lv2 自分から動けるが、その場では判断できない
Lv1との違いは、自分から動けることです。ただし、その場で判断して返すことはまだできず、持ち帰りが多くなります。
- 案件創出
- 自分からアプローチはするが、アポにつながらない。アポが取れても、その先の商談に育たない
- ヒアリング・課題把握
- 質問はするが、表面的な情報にとどまる
- 提案力
- テンプレートの提案書は作れるが、どの顧客に出しても通じる汎用的な内容になる
- 制作知識
- 制作側に確認すれば答えられるが、その場では判断できない
- 価格・交渉
- 根拠のないまま価格を提示していて、粗利を意識していない
- 案件管理・受注後
- 窓口にはなっているが、顧客と制作の間で伝書鳩になっている
- 数値管理
- 実績は分かるが、先の見通しが立てられない
Lv3 ひとりで商談を任せられる
Lv2との違いは、その場で判断して返せることです。持ち帰らずに商談を前へ進められます。
- 案件創出
- 自分で見込み客を開拓し、商談を作れる
- ヒアリング・課題把握
- 背景・目的・意思決定者を把握し、課題を言葉にできる
- 提案力
- 課題に対する解決策として、提案を組み立てられる
- 制作知識
- 実現可能性と工数感を把握していて、その場で概算を出せる
- 価格・交渉
- 工数から適正価格を算出し、根拠を持って提示できる
- 案件管理・受注後
- スコープを管理し、追加要望にはスコープ外を明示して、追加分の見積もりを出し直せる
- 数値管理
- パイプライン(進行中の商談の一覧と確度)を管理し、着地見込みを読める
ここが、任せられる状態のひとつの区切りです。
Lv4 起きる前に、手を打てる
Lv3との違いは、目の前の案件をさばくだけでなく、先を読んで動けることです。起きてから対処するのではなく、起きる前に手を打ちます。
- 案件創出
- 納品後に紹介を依頼する動きを習慣にしていて、紹介や既存顧客から継続的に案件を生み出せる
- ヒアリング・課題把握
- 顧客自身が気づいていない課題を提起できる
- 提案力
- 複数案を出し、投資対効果を示して意思決定を促せる
- 制作知識
- 技術的な選択肢を理解し、代替案を提示できる
- 価格・交渉
- 値引きではなく価値で交渉し、利益を確保できる
- 案件管理・受注後
- トラブルを未然に防ぎ、起きてしまった炎上は収束させられる
- 数値管理
- 不足が見えた時点で商談を足すなど、確度に応じて動きを変え、目標を安定して達成できる
Lv5 仕組みを作り、事業を動かす
Lv4との違いは、対象が自分の案件から事業全体に変わることです。自分が売ることより、売れる仕組みを作ることが仕事になります。
- 案件創出
- 市場を読み、新しい商流やチャネルを開拓する
- ヒアリング・課題把握
- 顧客と事業戦略レベルの対話ができる
- 提案力
- 提案そのものに価値を認められ、指名で相談が来る。発注が決まる前の相談にも提案の形で応え続け、その状態を自分で作っている
- 制作知識
- 制作サイドと対等に議論し、最適な座組を設計できる
- 価格・交渉
- 価格戦略を設計し、事業の収益性を高める
- 案件管理・受注後
- 顧客と制作の双方から信頼され、長期の取引を作る
- 数値管理
- チームや事業全体の数値を設計する
目指すのは全軸Lv5ではない
5段階と聞くと、全部をLv5にするのがゴールに見えます。そうではありません。
Lv5は「その職種のトップ」の姿であって、全員が目指す地点ではありません。多くの実務は、各軸がLv3であれば問題なく回ります。
Lv5は「その職種のトップ」の姿であって、全員が目指す地点ではありません。多くの実務は、各軸がLv3であれば問題なく回ります。
補足
当面のゴールは、全軸Lv3です。突出した軸を作るより、Lv1やLv2で止まっている軸を無くすほうが、実務では効きます。
全軸がLv3に揃ったあとのLv4は、全員が順に目指す段階ではなく、役割で選ぶ段階です。大口の顧客を任される、後輩の商談に同席する側に回るなど、立場が変わるタイミングで、その仕事に使う軸から上げていきます。
もうひとつ、ゴールの置き方で注意があります。平均点を上げることをゴールにしないでください。7軸の平均が3.2から3.4になったところで、現場で何ができるようになったのかは説明できません。上がったのはどの軸か、そこで何ができるようになったのかだけが意味を持ちます。
伸ばす順番を飛ばさない
7つの軸は横並びではありません。土台になる軸が低いまま上の軸を鍛えても、どこかで頭打ちになります。
Web制作の営業の場合はこの順番です。それぞれ、まずLv3まで上げることを目安にしてください。
Web制作の営業の場合はこの順番です。それぞれ、まずLv3まで上げることを目安にしてください。
-
制作知識実現可能性と工数感を把握して、その場で概算を出せるところまで。
-
ヒアリング・課題把握背景・目的・意思決定者を把握して、課題を言葉にできるところまで。
-
提案力課題に対する解決策として、提案を組み立てられるところまで。
-
価格・交渉工数から適正価格を算出して、根拠を持って提示できるところまで。
-
案件管理・受注後スコープを管理して、スコープ外の追加要望には見積もりを出し直せるところまで。
-
数値管理パイプラインを管理して、着地見込みを読めるところまで。
-
案件創出自分で見込み客を開拓して、商談を作れるところまで。
案件創出が最後にあるのは意外に見えるかもしれません。新規のアポこそ営業の最初の仕事に見えるからです。しかし、売る力より先に要るのは、売れるものが分かる力です。制作知識がLv1やLv2のまま商談だけ増やしても、無理な約束と赤字案件が構造的に増えていきます。制作知識が最初にあるのはそのためで、ヒアリングも提案も価格も、「何ができて、どれくらいかかるのか」という土台の上にしか載りません。
2番目から5番目までは、商談が進む順です。聞き取った課題が提案の材料になり、提案の中身が価格の根拠になり、合意したスコープが受注後の管理の基準になります。前の軸が安定していないと、次の軸は材料を欠いたまま鍛えることになります。
数値管理が6番目なのは、後回しでいいという意味ではありません。着地見込みは、商談の確度を自分で判断できてはじめて読めるようになります。ヒアリングと提案が安定する前にパイプラインだけ整えても、数字が並ぶだけで見通しにはなりません。
2番目から5番目までは、商談が進む順です。聞き取った課題が提案の材料になり、提案の中身が価格の根拠になり、合意したスコープが受注後の管理の基準になります。前の軸が安定していないと、次の軸は材料を欠いたまま鍛えることになります。
数値管理が6番目なのは、後回しでいいという意味ではありません。着地見込みは、商談の確度を自分で判断できてはじめて読めるようになります。ヒアリングと提案が安定する前にパイプラインだけ整えても、数字が並ぶだけで見通しにはなりません。
1軸だけ選び、1段階だけ上げる
現在地が分かったら、次に伸ばす軸を1つだけ選びます。選ぶのは、前の章の順番で最初にLv3に届いていない軸です。一度に全部は上がりません。7軸を同時に意識した瞬間、どれも動かなくなります。
選んだら、上げるのは1段階だけです。Lv2の軸をLv4にしようとせず、Lv3にすることだけを考えます。
上げ方は、難しく考えなくて構いません。次の段階の記述が、そのまま次の仕事で試す行動です。制作知識をLv2からLv3にするなら、次の商談の前に想定される要望の工数感を制作側に確かめておき、その場で概算を返してみる。その繰り返しです。
選んだら、上げるのは1段階だけです。Lv2の軸をLv4にしようとせず、Lv3にすることだけを考えます。
上げ方は、難しく考えなくて構いません。次の段階の記述が、そのまま次の仕事で試す行動です。制作知識をLv2からLv3にするなら、次の商談の前に想定される要望の工数感を制作側に確かめておき、その場で概算を返してみる。その繰り返しです。
このとき、「なんとなくLv2」で済ませないでください。どの商談のどの場面でそう判断したのかを、具体的に言葉にします。根拠が書けない判定は、次に何をすればいいかを教えてくれません。
あわせて、その段階に上がったと言える条件も先に決めておきます。決めていないと、上がったかどうかを気分で判断することになります。
あわせて、その段階に上がったと言える条件も先に決めておきます。決めていないと、上がったかどうかを気分で判断することになります。
言葉にすると、たとえばこのくらいの具体さです。
営業本人
制作知識はLv3にしました。先月のコーポレートサイトの商談で、CMS込みの構成の工数感をその場で答えて、概算の幅を出せたからです。
先輩営業
その判定でいいと思います。次はヒアリングですね。同じ商談で、リニューアルの目的と決裁の流れを聞けていなかったので、いまはLv2。初回の商談で背景・目的・意思決定者まで聞き取って、課題を一文で言い返せるようになったらLv3、と決めましょう。
見直しは1〜2ヶ月ごとで十分です。同じ軸が2回続けて動いていなかったら、やり方を変えるか、そもそもその軸を選んだ前提を疑ってください。
できれば、同じ7軸で他の人にも見てもらってください。自己判断と食い違った軸が、最初に話すべき論点になります。
できれば、同じ7軸で他の人にも見てもらってください。自己判断と食い違った軸が、最初に話すべき論点になります。
まとめ
「もっと頑張る」を「この軸をこの段階まで上げる」に置き換えるのが、この物差しの使い道です。次の4つだけ確認してください。
- 7つの軸それぞれについて、いまの段階を言葉にできているか
- その判定に、具体的な商談や場面の裏づけがあるか
- 次に上げる軸を1つだけに絞れているか
- 上がったと言える条件を、先に決めてあるか
全軸Lv5である必要はありません。Lv1やLv2で止まっている軸を1つずつ埋めていけば、実務で困ることはほとんどなくなります。
この物差しが測るのは、職種の専門スキルです。その土台になる、職種を問わない仕事の基本動作は仕事の基礎編で同じ形の物差しにしています。専門の軸が伸び悩むときは、土台の側も測ってみてください。
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