記事一覧 共有アカウントの2段階認証 Bitwardenで複数人が同じ認証コードを使う方法
情シス

共有アカウントの2段階認証 Bitwardenで複数人が同じ認証コードを使う方法

共有アカウントの2段階認証 Bitwardenで複数人が同じ認証コードを使う方法
会社の「info@」「support@」のように、複数人で使うアカウントがあります。
2段階認証をオンにすると、困るのが認証コードです。
コードが出るのは、設定した人のスマホだけ。
その人が休めば、誰もログイン出来ません。

記事「共有アカウントの2段階認証 Ente Authで複数人が同じ認証コードを使う方法」では、無料の認証アプリ「Ente Auth」で共有する方法を紹介しました。
一人一人が自分のEnteアカウントのまま、必要な認証コードだけをQRコードで受け取る形です。
この記事では、パスワード管理ツール「Bitwarden」の組織の機能で、パスワードと認証コードを、複数人でまとめて共有する方法を紹介します。
既にBitwardenでパスワードを共有している職場や、パスワードも一緒に管理したい職場に向いています。
Bitwardenの始め方は、記事「Bitwardenの使い方ガイド 無料で始める安全なパスワード管理」で紹介しています。
とら(Web担当) ラグ先生、info@ のログインで、また認証コードを聞かれました。
コードが出るスマホを持っている人が、今日は休みで……。
ラグ先生(制作会社のエンジニア) パスワードを入れているBitwardenに、認証コードも入れておくと、誰でも出せますよ。
とら(Web担当) Bitwardenで、認証コードまで出せるんですか?

Bitwardenで共有すると何が良いか

Bitwardenには、「組織」という機能があります。
会社などで使う、共有の保管庫です。
ここに、共有するアカウントのログイン情報を入れておくと、次の4つが楽になります。
一人一人が自分のアカウントで使える
使う人は、それぞれ自分のBitwardenのアカウントでログインします。
共有するアカウントのパスワードを、誰かに聞く必要はありません。
パスワードや2段階認証のコードを、人から人へ渡さずに済みます。

パスワードを変えた時も同じです。
Bitwardenのアイテム(保存したログイン情報の1件)を1か所直せば、全員に届きます。
パスワードと認証コードを一緒に出せる
例えば、info@ のGoogleアカウントにログインする時です。
パスワードを入れると、次は6桁の認証コードを聞かれます。

Bitwardenなら、ログイン情報に認証キー(2段階認証の鍵。画面では「認証キー (TOTP)」)を登録しておくだけです。
パスワードと一緒に、6桁の認証コードも出ます。
ブラウザの拡張機能で自動入力すると、認証コードもコピーした状態になるので、次の画面に貼り付けるだけです。
認証アプリを開かなくても、ログイン出来ます。
閲覧できる人と権限を決められる
全てのアカウントを、全員に見せる必要はありません。
経理で使うネットバンキングのアカウントは、経理の人だけ。
ホームページの管理画面は、Web担当の人だけ。
コレクション(共有するアイテムをまとめる箱)毎に、閲覧できる人と、その人が出来ること(見るだけ/直せる)を決められます。
会わなくても渡せる
新しい人が入った時も、手間はかかりません。
その人を組織に招待して、確認し、コレクションに加えるだけです。
それだけで、共有したアカウントを使えるようになります。
QRコードを見せるために会う必要も無いので、在宅の人がいる職場にも向いています。
TOTPとは何ですか?
TOTP(Time-based One-Time Password/時刻を基にしたワンタイムパスワード)は、「鍵」と今の時刻から、一定時間だけ使える認証コードを計算する仕組みです。
Google 認証システムやEnte Authなどの認証アプリも、同じ仕組みで6桁のコードを出していて、コードは30秒毎に変わります。
Bitwardenでは、鍵(セットアップキー)を「認証キー (TOTP)」の欄に入れると、「認証コード (TOTP)」の欄にコードが出ます。
同じ鍵を入れていれば、どのアプリでも、同じ時刻に同じコードが出ます。

必要なもの

とら(Web担当) 今、無料で使っているBitwardenのままでは、駄目なんですか?
ラグ先生(制作会社のエンジニア) パスワードの共有は、無料でも出来ます。
でも、認証コードを出すのは、有料の機能なんです。
必要なものは2つです。
有料の組織(プラン「チーム」)と、使う人それぞれのBitwardenのアカウントです。

使う人は、それぞれBitwardenのアカウントを作ります。
既に個人で使っているアカウントがある人は、そのアカウントで組織に入れます。
チームの組織に入れば、無料のアカウントのままで認証コードを出せます。

組織のプランは、次の通りです。
プラン 認証コード
無料の組織 出せない
チーム(Teams) 出せる
エンタープライズ(Enterprise) 出せる
料金は変わることがあるので、Bitwardenの料金のページで確かめてみてください。
「シークレットマネージャー」は申し込まない
組織を作る時や、プランを変える時に、「シークレットマネージャー」を一緒に申し込む欄があります。
名前は似ていますが、プログラムで使うパスワードなどを管理する、開発者向けの別の製品です。
申し込むと、その分の料金がかかります。
認証コードの共有には使わないので、申し込まずに進めます。

組織を作り、使う人を招待する

組織を作って、使う人をメールで招待します。
どちらも、ブラウザで開くウェブ保管庫で行います。
  1. 管理する人が、「新しい組織」でプラン「チーム」の組織を作る(シークレットマネージャーは選ばない)
  2. 「管理コンソール」→「メンバー」→「メンバーを招待する」で、使う人のメールアドレスを入れて招待する
  3. 使う人が、届いたメールのリンクから招待を受ける(アカウントが無い人は、ここで作る)
  4. 管理する人が、「メンバー」の一覧で招待を受けた人を選び、「選択を確認」を押す
最後の確認が済むまで、その人には共有のアイテムが見えません。

コレクションを作り、権限を決める

次は、共有するアイテムを入れる箱を作ります。
これが、コレクションです。
「管理コンソール」→「コレクション」で新しいコレクションを作り、名前(例:info@ のアカウント)を付けます。
「アクセス」で使う人を選び、その人の権限を決めます。
主な権限は、次の3つです。
アイテムを表示
パスワードと認証コードを出せます。
ログインに使うだけの人は、これで足ります。
アイテムを編集
アイテムを足したり、直したり出来ます。
共有するアカウントのパスワードを変えた時に、Bitwardenのアイテムを直す人に付けます。
コレクションの管理
そのコレクションを閲覧できる人や、権限を決められます。
コレクションを任せる人に付けます。
コレクションは、招待する時にも選べます。
「メンバーを招待する」の画面で、招待と一緒にコレクションを選んでおくと、手間が1つ減ります。

共有するアカウントを登録する

箱が出来たら、共有するアカウントを入れます。
ここでは、Googleアカウントを例にします。
Googleの「セットアップキー」を、Bitwardenの「認証キー (TOTP)」の欄に入れます。
多くのサービスでは、2段階認証の設定で、QRコードと一緒にセットアップキーを出せます。
とら(Web担当) QRコードは、スマホで読み取るんですよね?
ラグ先生(制作会社のエンジニア) Bitwardenなら、パソコンの画面で登録できます。
QRコードの代わりに、セットアップキーという文字の並びを使います。
中身は、同じ鍵です。
  1. セットアップキーを出す
    共有するアカウントでGoogleにログインし、Googleアカウントの「2段階認証プロセス」→「認証システム」→「認証システムを設定」を開きます。
    QRコードの画面で「スキャンできない場合」を押すと、セットアップキーが出ます。
    QRコードと一緒に出る英数字の並びで、中身はQRコードと同じ、2段階認証の鍵です。

    既に認証アプリで設定してある時は、「認証システム アプリを変更」で出し直します。
    出し直すと、それまで登録していた認証アプリのコードは、全て使えなくなります。
    今使っている人には、先に伝えておきます。
  2. ログイン情報を作る
    ウェブ保管庫で「新規作成」→「ログイン」を選び、名前/ユーザー名/パスワードを入れます。
    「所有者」で組織を選び、「コレクション」で、先に作ったコレクションを選びます。
  3. 認証キーを入れて保存する
    「認証キー (TOTP)」の欄に、セットアップキーを貼り付けて、「保存」を押します。
    保存すると、アイテムに6桁の認証コードが出ます。
  4. Googleの画面で確かめる
    Googleの画面に戻って「次へ」を押し、Bitwardenに出た認証コードを入力して、「確認」を押します。
    2段階認証がまだオフの時は、最後に「2段階認証プロセスを有効にする」を押します。
スマホのアプリなら、アイテムを直す画面から、QRコードを読み取って認証キーを入れることも出来ます。

セットアップキーは、鍵そのものです。
見た人は誰でも、同じ認証コードを作れます。
メモやチャットに残さず、Bitwardenに入れたら閉じておきます。

ログインする時の使い方

共有したアカウントは、閲覧できる人のBitwardenに自動で出ます。
すぐに出ない時は、Bitwardenで同期します。
使う人の方で、登録し直す必要はありません。
ログインする時は、次のようにして認証コードを出します。
ブラウザの拡張機能
自動入力でログインすると、認証コードもコピーした状態になります。
Googleのように次の画面でコードを聞かれる時は、その欄に貼り付けます。
パスワードと同じ画面でコードを聞くサービスなら、コードも自動で入ります。
右クリックのメニューから、認証コードだけをコピーすることも出来ます。
スマホのアプリ
アイテムを開くと、認証コードが出ます。
認証コードのあるアイテムだけを、一覧で見ることも出来ます。
ウェブ保管庫/パソコンのアプリ
アイテムを開くと、「認証コード (TOTP)」が出ます。
横のボタンでコピー出来ます。

人が抜けた時

とら(Web担当) 辞めた人を組織から外したら、もう安心ですよね?
ラグ先生(制作会社のエンジニア) Bitwardenでは、見られなくなります。
ただ、それまでにパスワードをメモしていたら?
とら(Web担当) ……使えてしまいますね。
ラグ先生(制作会社のエンジニア) だから、パスワードと鍵の方を替えます。
両方替えれば、メモは紙切れになります。
次の順に進めます。
  1. 組織から外す
    「管理コンソール」→「メンバー」で抜けた人を選び、メニューの「削除」を選んで、「メンバーを削除」を押します。
    休職などで一時的に止めるだけなら、「アクセスを取り消す」も選べます。
    ネットに繋がっていない端末のBitwardenには、次に同期するまで前の中身が残ります(見るだけで、直すことは出来ません)。
  2. パスワードを変える
    抜けた人が閲覧できたコレクションのアカウントは、全てパスワードを変えます。
    Bitwardenのアイテムも、新しいパスワードに直します。
  3. 抜けた人の端末をログアウトさせる
    パスワードを変えても、ログインの本人確認に使っているスマホなどは、共有のアカウントにログインしたまま残ります。
    Googleアカウントなら、「セキュリティとログイン」→「お使いのデバイス」の「すべてのデバイスを管理」で、抜けた人の端末を選んで「ログアウト」を押します。
    同じ端末名が複数ある時は、全てログアウトします。
    再設定用の電話番号/再設定用のメールアドレス/パスキーに、抜けた人の分があれば、それも外します。
  4. 認証キーを出し直す
    Googleアカウントなら「認証システム アプリを変更」で、新しいセットアップキーを出し、アイテムの「認証キー (TOTP)」を入れ替えます。
    出し直すと、抜けた人が書き写した鍵では、コードを作れなくなります。
  5. バックアップコードを作り直す
    Googleアカウントなら、「バックアップ コード」の画面で「更新」を押すと、古いコードは使えなくなります。
    新しいコードは、管理する人だけが閲覧できるコレクションなどに保管し直します。

気をつけること

とら(Web担当) パスワードも認証コードも、全部Bitwardenに入れて、大丈夫なんでしょうか。
ラグ先生(制作会社のエンジニア) Bitwardenを開ければ、両方使えてしまいます。
だから、Bitwarden自体の守りを固めておきます。
Bitwarden自体にも、2段階認証を設定する
Bitwardenのアカウントが、全ての鍵の入口になります。
使う人それぞれのBitwardenのアカウントに、2段階認証をかけておきます(2段階認証を有効にする)。
マスターパスワードは、他の人に教えません。
Bitwarden自身の認証コードは、別の認証アプリに入れる
Bitwardenにログインする時の認証コードを、Bitwardenの中に入れたとします。
新しい端末でログインしようとすると、コードはBitwardenの中にあるので、取り出せません。
Bitwarden自身の認証コードは、Ente Authなどの別の認証アプリに入れておきます。

よくある質問

Bitwarden Authenticatorとは違いますか?
Bitwarden Authenticatorは、認証コードを出すだけの別のアプリです。
名前は似ていますが、パスワード マネージャーとコードを同期できるだけで、組織で共有する機能はありません。
この記事では、パスワード管理ツールのBitwarden(パスワード マネージャー)を使います。

まとめ

  • 会社で認証コードを共有するなら、Bitwardenの有料の組織(チーム)を使う
  • 使う人を組織に招待し、招待を受けた人を確認する
  • コレクションを作り、使う人と権限を決める
  • 共有するアカウントのログイン情報に、セットアップキーを「認証キー (TOTP)」として入れる
  • 人が抜けた時は、組織から外し、パスワードを変え、抜けた人の端末をログアウトさせ、認証キーを出し直し、バックアップコードを作り直す
  • 使う人それぞれのBitwardenに、2段階認証をかけておく
アカウントの管理、一緒に整えませんか
IMG-flowは大阪のWeb制作会社です。
共有アカウントの2段階認証や、パスワードを共有する仕組みづくりも、サイトの運用・保守の中でお手伝いしています。
2段階認証の設定を相談する 運用保守のサービスを見る
この記事は参考になりましたか?
ご回答ありがとうございました