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EC運営担当の力を6軸×5段階で言葉にする 次に伸ばす1軸の決め方
EC運営担当の力を6軸×5段階で言葉にする 次に伸ばす1軸の決め方
「もっと売上を」「もっと店を良くして」と言われても、次に何をすればいいのかは分かりません。EC運営の伸び悩みは、たいてい忙しさの問題ではなく、どの力がどう足りないのかを言葉にできていないことから来ています。
ここでは、ネットショップ(ECサイト)の運営担当の力を6つの軸に分け、それぞれを5つの段階として整理します。自分がいまどのあたりにいて、次に何を上げればいいのかを決めるための物差しです。
後半では、目指す地点の決め方から伸ばす順番、次に上げる軸の絞り方まで、この物差しの使い方も扱います。
想定しているのは、ひとり〜少人数で店を回す担当者です。受注や制作が分業されている組織では、自分の担当範囲の軸だけで測ってください。
ここでは、ネットショップ(ECサイト)の運営担当の力を6つの軸に分け、それぞれを5つの段階として整理します。自分がいまどのあたりにいて、次に何を上げればいいのかを決めるための物差しです。
後半では、目指す地点の決め方から伸ばす順番、次に上げる軸の絞り方まで、この物差しの使い方も扱います。
想定しているのは、ひとり〜少人数で店を回す担当者です。受注や制作が分業されている組織では、自分の担当範囲の軸だけで測ってください。
EC運営の力は6つに分けられる
「ECの運営ができる」と一口に言っても、その中身は同じではありません。企画は面白いのに欠品で機会を逃す人もいれば、日々の運用は丁寧なのに数字を見ていない人もいます。ひとまとめにしている限り、次の一手は決まりません。
- 売場運用
- 商品を、売れる状態で並べ続けられるか
- 顧客対応
- 問い合わせやレビューを、次の買い物につなげられるか
- 在庫・物流理解
- 欠品と過剰在庫を、防げるか
- データ分析
- 数字から、売れない理由を見つけられるか
- モール・カート知識
- 販売の場の仕組みを、使いこなせるか
- 販促企画
- 売る仕掛けを、自分で企てられるか
広告運用やSNS、メルマガといった集客の仕事は、ツールや広告の仕組みを使いこなす面はモール・カート知識、何をいつ仕掛けるかを企てる面は販促企画に含めて測ってください。自社ECの担当者は、モール・カート知識を自分のカートシステムやサイトの仕組みに読み替えれば、そのまま使えます。
この6つを、それぞれ5段階に分けます。段階が言葉になっていると、「なんとなく足りない」が「この軸のこの段階にいる」に変わります。
全体はこの一枚に収まります。軸ごとに横へ読んで、いちばん近いマスに印を付けてください。6つの印を縦に見比べると、自分の凸凹が見えてきます。
この6つを、それぞれ5段階に分けます。段階が言葉になっていると、「なんとなく足りない」が「この軸のこの段階にいる」に変わります。
全体はこの一枚に収まります。軸ごとに横へ読んで、いちばん近いマスに印を付けてください。6つの印を縦に見比べると、自分の凸凹が見えてきます。
| 軸 | Lv1 | Lv2 | Lv3 | Lv4 | Lv5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売場運用 | 情報が古いまま | 指示どおりに登録できる | 自分で点検して保てる | 売れ行きで組み替えられる | 売場の標準を作る |
| 顧客対応 | 返信が遅れる | 定型ならできる | 自分で判断して返せる | 改善に反映できる | 仕組みを作る |
| 在庫・物流理解 | 起きてから気づく | 数字は見るが判断は人任せ | 欠品と過剰を防げる | 変動を織り込める | 体制を設計する |
| データ分析 | 数字を見ていない | 売上は見るが理由は言えない | 分解して原因を特定できる | 仮説を立てて検証できる | 判断基準を作る |
| モール・カート知識 | 基本操作だけ | 使う機能の範囲だけ | 仕組みを理解して使える | 特性で施策を変えられる | 出店戦略を設計する |
| 販促企画 | 言われたセールをこなす | 過去の企画をなぞる | 自分で立てて回せる | 年間で設計できる | 戦略から仕掛けられる |
EC運営の現在地を5つの段階で測る
Lv2以降の冒頭には、前の段階から何が変わるのかを一文で置いてあります。まずそこで自分の当たりをつけ、6つの軸ごとの記述で、いちばん近い段階を確かめてください。記述はどれも典型例なので、ぴったり一致していなくて構いません。Lv1は脱しているが、Lv3には届いていない。その場合は、間のLv2です。
読むときのコツが1つあります。自分がよく見えるほうを選ばないことです。「やろうと思えばできる」ではなく、直近の店舗運営で実際にできたほうを取ってください。ここを甘く見ると、あとの判断がすべてずれます。セールやイベントで売上が伸びた月は、店の力と場の力を混同しやすいので、判定の裏づけにしないでください。
AIを使ったかどうかは、判定には関係ありません。商品説明文やメルマガをAIに書かせても、出てきた文面の事実(価格・仕様・在庫)を確かめ、店のトーンに直せたなら「できた」に入ります。確認せずにそのまま載せたなら、それは間違った情報の出どころが手作業からAIに変わっただけで、Lv1の放置と同じです。
読むときのコツが1つあります。自分がよく見えるほうを選ばないことです。「やろうと思えばできる」ではなく、直近の店舗運営で実際にできたほうを取ってください。ここを甘く見ると、あとの判断がすべてずれます。セールやイベントで売上が伸びた月は、店の力と場の力を混同しやすいので、判定の裏づけにしないでください。
AIを使ったかどうかは、判定には関係ありません。商品説明文やメルマガをAIに書かせても、出てきた文面の事実(価格・仕様・在庫)を確かめ、店のトーンに直せたなら「できた」に入ります。確認せずにそのまま載せたなら、それは間違った情報の出どころが手作業からAIに変わっただけで、Lv1の放置と同じです。
Lv1 日々の作業に追われ、店が荒れる
売場も在庫も対応も、目の前に来たものを処理するだけで手一杯です。
- 売場運用
- 終了したセールのバナーが、まだトップページに貼られている
- 顧客対応
- 返信の遅れに、「まだですか」という2通目のメールで気づく
- 在庫・物流理解
- 欠品に気づくのは、その商品に注文が入ったとき
- データ分析
- 売上は月末に合計を見るだけで、良かった月も悪かった月も理由は「たまたま」
- モール・カート知識
- 商品登録と受注処理以外のメニューは、一度も開かれないまま並んでいる
- 販促企画
- 販促は、モールから届く「セールに参加しませんか」のメールに乗るだけ
Lv2 こなせるが、判断は人任せ
Lv1との違いは、決まった作業なら回せることです。ただし、判断が要る場面ではまだ止まります。
- 売場運用
- 指示どおりの登録・更新はできるが、自分からは点検しない
- 顧客対応
- 定型の対応はできるが、判断が要る問い合わせで止まる
- 在庫・物流理解
- 在庫の数字は見ているが、発注の判断は人任せ
- データ分析
- 売上は見るが、なぜ動いたのかは分からない
- モール・カート知識
- いま使っている機能の範囲では操作できる
- 販促企画
- 過去の企画をなぞって実施はできる
Lv3 店をひとりで任せられる
Lv2との違いは、自分で判断できることです。点検も発注も対応も、指示を待たずに店を保てます。
- 売場運用
- 商品情報・画像・在庫表示を、自分で点検して正しく保てる
- 顧客対応
- 自分で判断して対応でき、レビューやクレームにも適切に返せる
- 在庫・物流理解
- 売れ行きから発注量を判断し、欠品と過剰在庫を防げる
- データ分析
- 売上をアクセス・転換率・客単価に分解して、原因を特定できる
- モール・カート知識
- 検索対策や広告など、モールやカートの仕組みを理解して使える
- 販促企画
- 目的と目標の数字を決めて、企画を自分で立てて回せる
ここが、店をひとりで任せられる状態のひとつの区切りです。
Lv4 数字で先を読み、店を動かす
Lv3との違いは、店を保つことから動かすことに変わることです。売れ行きを読み、売場と企画を自分から仕掛けていきます。
- 売場運用
- 売れ行きに応じて、導線・特集・関連商品まで売場を組み替えられる
- 顧客対応
- 問い合わせやレビューから改善点を拾い、商品やページに反映できる
- 在庫・物流理解
- リードタイムや季節変動を織り込んで、在庫を計画できる
- データ分析
- 仮説を立てて検証し、打ち手の効果を測れる
- モール・カート知識
- モールやカートごとの特性を比較して、施策を変えられる
- 販促企画
- 年間の販促カレンダーを設計し、売上の山と谷を作れる
Lv5 店の仕組みと戦略を作る
Lv4との違いは、対象が目の前の店から事業に変わることです。自分が回すことより、店が回り続ける仕組みを作ることが仕事になります。
- 売場運用
- 売場のテンプレートや運用ルールを作り、チームに展開する
- 顧客対応
- 対応の仕組みとルールを作り、リピートにつながる関係を設計する
- 在庫・物流理解
- 仕入れや物流の体制そのものを設計できる
- データ分析
- 見るべき指標を定義し、チームの判断基準を作る
- モール・カート知識
- 出店戦略やチャネル構成を設計できる
- 販促企画
- ブランドや商品戦略のレベルで、売る仕掛けを作れる
目指すのは全軸Lv5ではない
5段階と聞くと、全部をLv5にするのがゴールに見えます。そうではありません。
Lv5は「その職種のトップ」の姿であって、全員が目指す地点ではありません。多くの実務は、各軸がLv3であれば問題なく回ります。
Lv5は「その職種のトップ」の姿であって、全員が目指す地点ではありません。多くの実務は、各軸がLv3であれば問題なく回ります。
補足
当面のゴールは、全軸Lv3です。突出した軸を作るより、Lv1やLv2で止まっている軸を無くすほうが、実務では効きます。
全軸がLv3に揃ったあとのLv4は、全員が順に目指す段階ではなく、役割で選ぶ段階です。複数店舗を束ねる、仕入れや商品企画に関わるなど、立場が変わるタイミングで、その仕事に使う軸から上げていきます。
もうひとつ、ゴールの置き方で注意があります。平均点を上げることをゴールにしないでください。6軸の平均が3.2から3.4になったところで、現場で何ができるようになったのかは説明できません。上がったのはどの軸か、そこで何ができるようになったのかだけが意味を持ちます。
EC運営の力を伸ばす順番を飛ばさない
6つの軸は横並びではありません。土台になる軸が低いまま上の軸を鍛えても、どこかで頭打ちになります。
EC運営担当の場合はこの順番です。それぞれ、まずLv3まで上げることを目安にしてください。
EC運営担当の場合はこの順番です。それぞれ、まずLv3まで上げることを目安にしてください。
-
売場運用商品情報・画像・在庫表示を、自分で点検して正しく保てるところまで。
-
顧客対応自分で判断して対応でき、レビューやクレームにも適切に返せるところまで。
-
在庫・物流理解売れ行きから発注量を判断して、欠品と過剰在庫を防げるところまで。
-
データ分析売上をアクセス・転換率・客単価に分解して、原因を特定できるところまで。
-
モール・カート知識検索対策や広告など、モールの仕組みを理解して使えるところまで。
-
販促企画目的と目標の数字を決めて、企画を自分で立てて回せるところまで。
販促企画が最後にあるのは意外に見えるかもしれません。ECの仕事はセールや企画に見えるからです。しかし、この順番は「穴の空いたバケツに水を注がない」ための順番です。商品情報が古く、問い合わせの返信が遅れ、売れ筋が欠品している店にキャンペーンで人を集めても、増えるのは売上ではなくクレームです。最初の3つ、売場・顧客対応・在庫は店の守りで、ここまでがLv3に届いてはじめて、集めたお客さんを受け止められる状態になります。
データ分析が4番目なのは、企画より先に「どこで売れていないのか」を特定できるようになるためです。アクセスが足りないのか、転換率が低いのか、客単価が伸びないのか。ここが分からないまま企画を立てると、思いつきに戻ります。モール・カート知識がその次にあるのは、検索対策や広告といった攻めの手段は、何を伸ばすべきかが数字で分かってはじめて選べるからです。分析と手段が揃ったとき、販促企画は思いつきではなくなります。
データ分析が4番目なのは、企画より先に「どこで売れていないのか」を特定できるようになるためです。アクセスが足りないのか、転換率が低いのか、客単価が伸びないのか。ここが分からないまま企画を立てると、思いつきに戻ります。モール・カート知識がその次にあるのは、検索対策や広告といった攻めの手段は、何を伸ばすべきかが数字で分かってはじめて選べるからです。分析と手段が揃ったとき、販促企画は思いつきではなくなります。
1軸だけ選び、1段階だけ上げる
現在地が分かったら、次に伸ばす軸を1つだけ選びます。選ぶのは、前の章の順番で最初にLv3に届いていない軸です。一度に全部は上がりません。6軸を同時に意識した瞬間、どれも動かなくなります。
選んだら、上げるのは1段階だけです。Lv2の軸をLv4にしようとせず、Lv3にすることだけを考えます。
上げ方は、難しく考えなくて構いません。次の段階の記述が、そのまま次の仕事で試す行動です。売場運用をLv2からLv3にするなら、指示された更新だけで手を止めず、商品情報や在庫表示を自分から点検してみる。その繰り返しです。
選んだら、上げるのは1段階だけです。Lv2の軸をLv4にしようとせず、Lv3にすることだけを考えます。
上げ方は、難しく考えなくて構いません。次の段階の記述が、そのまま次の仕事で試す行動です。売場運用をLv2からLv3にするなら、指示された更新だけで手を止めず、商品情報や在庫表示を自分から点検してみる。その繰り返しです。
このとき、「なんとなくLv2」で済ませないでください。どの場面でそう判断したのかを、具体的に言葉にします。根拠が書けない判定は、次に何をすればいいかを教えてくれません。
あわせて、その段階に上がったと言える条件も先に決めておきます。決めていないと、上がったかどうかを気分で判断することになります。
あわせて、その段階に上がったと言える条件も先に決めておきます。決めていないと、上がったかどうかを気分で判断することになります。
言葉にすると、たとえばこのくらいの具体さです。
EC運営担当本人
データ分析はLv3にしました。先月の売上会議で、前月比の減少がアクセスではなく転換率の低下だと分解して、原因が主力商品の品切れ表示だと特定できたからです。
店長
その判定でいいと思います。次はモール・カート知識ですね。同じ会議で、モール内検索の順位が落ちていた理由を説明できなかったので、いまはLv2。検索順位の仕組みを理解して、主力商品で対策を打てるようになったらLv3、と決めましょう。
見直しは1〜2ヶ月ごとで十分です。同じ軸が2回続けて動いていなかったら、やり方を変えるか、そもそもその軸を選んだ前提を疑ってください。
できれば、同じ6軸で他の人にも見てもらってください。自己判断と食い違った軸が、最初に話すべき論点になります。
できれば、同じ6軸で他の人にも見てもらってください。自己判断と食い違った軸が、最初に話すべき論点になります。
まとめ
「もっと頑張る」を「この軸をこの段階まで上げる」に置き換えるのが、この物差しの使い道です。次の4つだけ確認してください。
- 6つの軸それぞれについて、いまの段階を言葉にできているか
- その判定に、具体的な場面の裏づけがあるか
- 次に上げる軸を1つだけに絞れているか
- 上がったと言える条件を、先に決めてあるか
全軸Lv5である必要はありません。Lv1やLv2で止まっている軸を1つずつ埋めていけば、実務で困ることはほとんどなくなります。
この物差しが測るのは、職種の専門スキルです。その土台になる、職種を問わない仕事の基本動作は仕事の基礎編で同じ形の物差しにしています。専門の軸が伸び悩むときは、土台の側も測ってみてください。
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ご回答ありがとうございました