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ネットショップの売上が伸びない理由は「購入ファネル」でわかる

ネットショップの売上が伸びない理由は「購入ファネル」でわかる
ネットショップの売上が伸びないとき、まず思い浮かぶのは「集客が足りない」かもしれません。ただ、売上が伸びない理由は、集客不足とは限りません。来ているお客様が、買う手前で帰ってしまっていることもあります。

この記事は、アクセス解析の連載のEC編です。売上を分解して見る方法と、お客様が離れている段階を見つける「購入ファネル」の考え方を、基礎編/集客編と同じネットショップの例で紹介します。

売上は3つに分解できる

ネットショップの売上は、次のかけ算で成り立っています。この式を見ると、どこを直せば売上が動くのかが分かります。
売上の分解式
売上 = 訪問数(セッション) × 購入率(CVR) × 客単価
この例のショップの当月は、訪問数 24,000 × 購入率 1.09% で購入が262件、客単価 13,200円 をかけて、売上はおよそ 346万円 でした。

売上を上げるには、この3つのどれかを動かします。集客(訪問数)を増やすのは、3つのうちの1つで、広告費や手間もかかります。一方、購入率を上げる工夫は、いま来てくれているお客様に向けたものなので、広告費を増やさなくても売上を伸ばせます。そこでこの記事では、「来たお客様が、どの段階で買うのをやめているのか」から見ていきます。

客単価を上げる工夫(あわせ買いの提案やセット販売など)も効果がありますが、この記事では購入率に絞ります。

購入ファネルで離脱を見つける

購入率を見るときに使うのが、購入ファネルという考え方です。ファネル(漏斗)とは、訪問から購入までの段階を順に並べ、各段階でどれだけ次に進んだか(通過率)を見るものです。
図1:購入までの流れ。いちばん減るのは「商品ページ閲覧→カート追加」
ネットショップ側でカート追加などを計測していれば、GA4の「レポート > 収益化 > 購入経路」で、同じような5つの段階を見られます。ただし、このレポートは人数で数えるため、1段目の数は、下の表のセッション数(24,000)より少なく出ます。
段階 件数 通過率(前の段階から)
セッション(訪問) 24,000 ―
商品ページ閲覧 11,400 47.5%
カート追加 1,100 9.6%
購入手続き開始 520 47.3%
購入完了 262 50.4%
段階ごとの通過率を見ると、どこでお客様が離れているかが分かります。この例でいちばん大きく減っているのは「商品ページ閲覧→カート追加」で、通過率は9.6%です。商品ページを見た訪問は11,400回あるのに、カートに入ったのは1,100回。まず直したいのはここです。この段階はどのショップでも低くなりやすいので、前月や前年同月と比べて下がっていないかもあわせて見ておくと、判断しやすくなります。

その先の「カート追加→購入手続き開始」(47.3%)と「購入手続き開始→購入完了」(50.4%)は、カートに入れたのに買わずに離れる、いわゆる「カゴ落ち」を見る区間です。カートに入った訪問のうち、購入まで進まなかったのは約76%で、よく言われる平均(7割ほど)と大きくは変わりません。

カゴ落ちが平均並みなので、このショップの課題は、その手前の商品ページにあります。この状態で広告を増やしても、増えた訪問の9割以上は、同じように商品ページで離れてしまいます。先に商品ページを直すほうが、同じ広告費でも売上が伸びやすくなります。
補足
GA4の購入経路は、初期設定では段階を順に通った人だけを数えます。オープン ファネルに切り替えると、前の段階より数が増える箇所が出ることがあります(カートを見ずに購入手続きへ進む、前回訪問のカートが残っている、など)。これは異常ではなく、前の段階を通らずに進んだ人が含まれるためです。まずは、通過率が極端に低い段階を見れば十分です。

「見られているのに売れない」商品を探す

「商品ページ閲覧→カート追加」が弱いと分かったら、次は「どの商品ページで起きているか」まで絞り込みます。よく見られている商品ページを、閲覧数とカート追加数で並べてみます。
図2:よく見られている商品ページの閲覧数とカート追加。上位2商品はカート0件
目を引くのは、いちばん見られている2商品が、数百回も閲覧されているのにカート追加0件だという点です。これだけ見られてカートに入らないのは、商品の魅力の問題というより、次のどちらかが疑われます。
  • 在庫切れ/サイズ欠品で、そもそも「カートに入れる」ボタンが押せない状態になっている
  • そのページにだけ、カート追加を計測するタグが入っていない(実際は売れているのに0に見えている)
まず、ショップの管理画面で、その商品に注文が入っているかを見てみてください。注文があるのにカート追加が0件なら、タグの入れ忘れです。注文も無ければ、その商品ページを自分のスマホで開いて、ボタンが押せるかを確かめます。押せない状態なら、在庫や表示の問題です。

数字だけを見て「この商品は人気がない」と判断し、売り場から下げてしまう前に、確かめておきたいところです。

チャネルごとに、購入までつながったかを見る

集客の効率は、チャネルによって違います。集客編で見た流入チャネルを、今度は「購入までつながったか」で見てみます。当月のセッション数に、チャネルごとの購入件数と購入率を並べました。GA4の「レポート > 集客 > トラフィック獲得」で、キーイベントの列を purchase(購入)に絞ると見られます。
チャネル セッション(当月) 購入件数 購入率
オーガニック検索 5,760 75 1.30%
有料検索 3,360 60 1.79%
参照(リファラル) 4,080 28 0.69%
ディスプレイ広告 2,400 1 0.04%
AI アシスタント 1,200 12 1.00%
ダイレクト 4,080 54 1.32%
オーガニックSNS 3,120 32 1.03%
合計 24,000 262 1.09%
この例では、ディスプレイ広告が当月2,400セッション(全体の約1割)を集めていました。ところが、そこから購入に至ったのは1件、購入率にすると0.04%です。サイト全体の購入率1.09%を大きく下回っています。数は集められていても、購入にはほとんどつながっていない状態です。
こうしたチャネルが見つかったら、配信先(どんなサイトに出ているか)/広告の内容/計測の設定のどこに原因があるかを確かめます。知ってもらうことが目的の広告なら、この数字は想定どおりのこともあります。その場合は、購入以外の数字で効果を見ます。

同じSNSでも成果は大きく違う

SNSとひとくくりにしても、購入へのつながり方は媒体ごとに大きく違います。この例のSNS経由のセッションと購入を、媒体ごとに分けると次のとおりです(LINE配信のリンクには、計測用の目印を付けています)。
SNS セッション(当月) 購入件数 購入率
LINE 900 28 3.11%
Instagram 1,700 3 0.18%
X 520 1 0.19%
合計 3,120 32 1.03%
LINEは購入率3.11%と、配信が購入に直結しています。一方、Instagramはセッションがいちばん多いのに、購入率は0.18%にとどまっています。この場合は、プロフィールや投稿から商品ページへの導線や、商品タグ(ショッピング機能)の設定を見直す余地があります。ただ、Instagramで知って、あとから店名で検索して買う人もいます。投稿を増やした月に、集客編で紹介した指名検索が増えているかもあわせて見ると、Instagramの役割が分かります。
「SNSをがんばる」ではなく、どの媒体が売上を作っているかを見て、力の入れどころを決めると、限られた時間をむだにしにくくなります。

まとめ

EC編の要点を整理します。
  • 売上は「訪問数 × 購入率 × 客単価」に分解できます。集客はそのうちの1つです。
  • 購入ファネルで、どの段階でお客様が離れているかを見つけます。
  • 見られているのにカート0件の商品は、在庫切れかタグの入れ忘れかを、スマホで開いて確かめます。
  • チャネルは、集客の量だけでなく、購入までつながったかで見ます。
  • 同じSNSでも、成果は媒体ごとに違います。売上を作っている媒体に力を入れます。
数字で分かるのは、「どこで」お客様が離れているかまでです。次の行動観察編では、その先の「なぜ離れるのか」を、ヒートマップやセッション録画で確かめる方法を紹介します。
次の記事:数字の「なぜ」はヒートマップでわかる(行動観察編)
ここまでの分析は、GA4の見方を覚えれば自分でも進められます。ただ、毎月数字を読み、ファネルの弱いところを見つけ、どこから直すかまで決めていくには、時間と経験が要ります。数字を読むところから「次にどこを直すか」を決めるところまでを外部に任せ、ショップ運営者は商品や接客に集中する、という分担もあります。何をどこまで任せられるのかは、WEB活用コンサル「IMG★EXP」の紹介記事で具体的に紹介しています。
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